日常生活の困りごとや不調、
それって神経線維腫症1型の腫瘍のせいかも?
叢状神経線維腫(そうじょうしんけいせんいしゅ、PN)は、神経線維腫症1型(レックリングハウゼン病、NF1)患者さんの約50~60%にできると考えられている良性の腫瘍です1-3)。
特定の場所でなく全身のどこにでもできる可能性があります。そのため、腫瘍ができる場所や患者さんの状態によって、あらわれる影響はそれぞれ異なります。具体的な例としては、見た目の問題や痛み、動きづらさ、体の機能への影響などが挙げられます1,2,4-8)。症状がない患者さんもいる一方で、自分では気がついていなくても、実は腫瘍が原因で日常生活での困りごとや不調が起きていたという患者さんもいらっしゃいます。
叢状神経線維腫による困りごと(例)
Gross AM. et al.: N Engl J Med 382(15): 1430-1442, 2020[COI:本研究はアストラゼネカ株式会社からの支援により実施された]
Hiscock TY(edited). et al.: Neurofibromatosis a handbook for patients, families, and health care
professionals, 2nd edn. Thieme, New York: 104, 2005
叢状神経線維腫-悪性末梢神経鞘腫瘍診療ガイドライン作成委員会(編): 叢状神経線維腫-悪性末梢神経鞘腫瘍診療ガイドライン, 第1版. 医学図書出版, 東京: 16, 2024
より作図
叢状神経線維腫は、
放っておいて大丈夫?
特に自覚症状がない場合は、気にしていないという患者さんもいらっしゃるかもしれません。しかし、叢状神経線維腫にはいろいろなリスクがあります。
腫瘍が大きくなると、体に
何かしらの困った影響が出てくる/
症状が悪化する可能性がある1,9,10)
腫瘍の中で出血が
起こる場合がある1,11)
ぶつけるなどの外的刺激で出血が起こる場合があります。そうしたときには、病院での処置や手術が必要になる場合があり、まれに命にかかわる危険な状態に至ることもあるため注意が必要です12)。
悪性腫瘍(がん)に
変化することがある1)
叢状神経線維腫は、その一部が悪性腫瘍に変化してしまうことがあります1)。
もし腫瘍が急に大きくなった、強い痛みが出てきた、腫瘍の硬さが変わってきたなどの変化があれば悪性腫瘍になっているサインかもしれません13)。定期的にかかりつけの病院を受診するようにしてください。
叢状神経線維腫は、
どのように治療するの?
子どもの患者さんも大人の患者さんも、腫瘍による影響があれば手術(外科的治療)、手術が難しければ内服薬による治療(薬物治療)が検討されます1)。
症状や体への影響がない場合には、注意深く経過観察を行います。病状の変化を早期に把握し、適切な時期に治療を始められるよう、定期的な診察を継続し、体の状態を確認していきます。
この病気に詳しい医師より一言
私が診療している患者さんの中には、治療をしたことで「痛みが和らいだ」や「着替えが楽になった」といった報告をしてくださる方がいて、大変嬉しく思っています。
叢状神経線維腫のベストな治療プランは、腫瘍のできる場所や患者さんの状態などによって異なりますので、主治医の先生と一緒に考えていくことが重要です。ただし、腫瘍が大きくなると、対処が難しくなることが多いです。そのため、少しでも気になる症状があったり、体の変化を感じた場合には、早めに受診いただくことをお勧めします。ご不安なことやご不明な点がございましたら、主治医またはスタッフに遠慮なくご相談ください。
鳥取大学医学部
感覚運動医学講座
皮膚科学分野 教授
吉田 雄一 先生
「どの診療科に行ったらよいの?」、「先生にどう相談したらよいの?」といった受診への疑問や不安はありませんか?専任看護師による相談用のコールセンターを用意しておりますので、まずは一度こちらにご連絡ください。
コールセンターはこちら
- 叢状神経線維腫-悪性末梢神経鞘腫瘍診療ガイドライン作成委員会(編): 叢状神経線維腫-悪性末梢神経鞘腫瘍診療ガイドライン, 第1版. 医学図書出版, 東京: p16-17, 30, 33, 2024
- Plotkin SR. et al.: Plos One 7(4): e35711, 2012
- Jett K. et al.: Am J Med Genet A 167(7): 1518-1524, 2015
- Akshintala S. et al.: Neuro Oncol 22(9): 1368-1378, 2020
- Avery RA. et al.: Am J Ophthalmol 155(6): 1089-1094.e1, 2013
- Mautner VF. et al.: Neuroradiology 48(3): 160-165, 2006
- Nguyen R. et al.: J Pediatr 159(4): 652-655.e2, 2011
- Prada CE. et al.: J Pediatr 160(3): 461-467, 2012
- Gross AM. et al.: Neuro Oncol 20(12): 1643-1651, 2018
- Waggoner DJ. et al.: Am J Med Genet 92(2): 132-135, 2000
- Feng Y. et al.: Eur J Med Res 15(2): 84-87, 2010
- 神経線維腫症1型診療ガイドライン改定委員会(編). 日皮会誌 128(1): 17-34, 2018
- Carton C. et al.: EClinicalMedicine 56: 101818, 2023[COI:著者の中には、アストラゼネカ株式会社より資金提供を受けた者が含まれる]