病院を探す 症状チェックリスト

成人医療への移行サポート第2回

定期受診、忘れないための工夫。でもどうして?

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ポイント解説

NF1とは、赤ちゃんの頃から向き合っているからこそ、病気であることを忘れてしまうことがあるかもしれません。しかし、NF1の症状は、年齢とともに変化しま1)赤ちゃんの頃にはカフェ・オ・レ斑と呼ばれる体のしみ・あざが、その後、思春期の頃(12~18歳頃)から、皮膚にふくらみ(腫瘍)ができる方が多いです。これらの症状以外に、目の症状や頭痛、高血圧、脊柱の側弯などもおこってくることがありま1)また、皮膚にはあまり症状や変化がなく、痛みがない方でも、体の深いところに腫瘍ができている場合もありま2)そのため、定期受診で何か異常がないか調べることがとても重要になります。

急に腫瘍が大きくなったり、硬さが変わったり、痛みがでる場合や、突然、手足の感覚や視力に変化がでた場合(「神経症状」とよばれます)、定期受診を待たずに病院を受診し、NF1と関係のある症状か調べてもらう必要がありま1,3)

過度に怖がる必要はありませんが、自分の好きなことをこれからも続けていくために、定期受診を含む病院の受診は、とても重要になります。

定期受診するには、病院に行く日をちゃんと覚えておく必要があります。これまでお父さんやお母さん(ケアギバー)が覚えてくれていたことを、自分で行ってみましょう。手帳やカレンダーに予約日を書いたり、携帯電話のリマインダー機能を利用するのも良いでしょう。

「なぜ」定期受診が必要かを理解すれば、予約の日をちゃんと覚えていられるのではないでしょうか。

ご家族(ケアギバー)の方へ

医師からの
ワンポイントアドバイス

NF1に合併する腫瘍は良性のものが多いですが、大人に向かう年齢の頃から、まれに悪性化することがあり、強い痛みを伴うこともあります。外からわかりにくい合併症もあるので、中学生や高校生のうちに、親御さん(ケアギバー)から、お子さんに、NF1の病気のことや、NF1の気をつけるべきことを説明してあげましょう。そうすることが、将来、患者さんの適切な病院受診や健康維持につながります。
成人医療への移行準備の一環として、お子さまにNF1のことを説明する機会をもち、予約管理の工夫について、患者さん本人と話し合うと良いでしょう。

佐賀大学医学部小児科 教授
 松尾 宗明 先生

  • 1)神経線維腫症1型診療ガイドライン改定委員会(編). 日皮会誌 128(1): 17-34, 2018
  • 2)Shofty B. et al.: Childs Nerv Syst 36(10): 2401-2408, 2020
  • 3)Ferner RE. et al.: J Med Genet 44(2): 81-88, 2007