おなかに、うっすらとしたあざ「なんだろう?」

腫瘍を取り除くために、何度も手術を受けてきた美咲さん。学習障害を抱えながらも高校まで普通学級に通い、高校卒業後は専門学校に進学して資格を取得。今は実家を出て一人暮らしをしながら働いています。


美咲さんは双子の妹。二人とも小さく生まれたため、生後すぐに保育器に入れられました。
「美咲のおなかのあたりに、双子のお兄ちゃんにはない、うっすらとしたあざがあって。なんだろう?と」
「カフェ・オ・レ斑」と呼ばれるそのあざは、美咲さんの成長につれて次第にはっきりと見えるようになりました。


6個以上のあざが確認された2歳のとき、美咲さんは神経線維腫症1型(NF1、レックリングハウゼン病)疑いと診断されます。
「小児科の先生に診断していただいたのですが、特に疑問は抱かず、『ああ、病気なんだ』と。あざの原因がわかったことは、ありがたかったです。インターネットで調べてみたら、さまざまな症状が書かれていて、将来のことが少し不安になりましたが、そのときは美咲にはあざ以外の症状は何もなくて、日常生活には一切問題なし。服を着ていれば、病気があるなんて誰も思わなかったはずです。


あざが上半身の3分の2くらいに広がった3歳のときに、初めてあざの治療を受けました」
あざは施術直後には薄くなるものの、時間が経つと再び浮かんできてしまいました。「めったに泣くことのない強い子だった美咲が泣くほどに痛がっていたし、かわいそうだから」と、小学1年生のときを最後に、その治療を受けることはやめました。


当時、母親の目線で麻衣さんが考えていたのは「あざがあることで、美咲が卑屈にならないようにすること」。夏の保育園、子どもたちはビニールのプールで水浴びをしてはしゃいでいます。「美咲もプールに入らせるか、悩みました。でも、あざを見られるからとやめさせると、同じようなことが一生続くかもしれない。『周りの子と一緒にやらせてください』と、先生方にお願いしました」。紫外線を避けるために上着は着用していましたが、美咲さんは周りの子どもたちと楽しく、水遊びをしていたそうです。

Vol.2 トップ
BIOGRAPHY & Words
おなかに、うっすらとしたあざ「なんだろう?」 「どうしてできないの?」衝突してしまうことも 「病人扱いされたくない」同級生以外には病気を伏せていた 初めて感じた、勉強のおもしろさ「普通が、すごいこと」 考えるのは自分、決めるのも自分 資格を取得し、歯科医院に勤務でも、状況が変わって…… 自分の経験を活かせる、人の助けになる仕事がしたい