症状に変化がみられたのは、小学1年生の冬。あざがある部分に小さな良性腫瘍ができ、「時々急に、数秒から数分、足がつったような痛みに襲われるんです。がまんしてやり過ごしていました」。
冬休みに入院して、最初の切除手術を受けました。担当医は「これからは、腫瘍ができたら切除する。それを繰り返すことになると思います」。医師の言葉通り、以降は2、3年ごとに手術を受けています。
全身麻酔が必要なため入院となりますが、中学2年生の夏休み、美咲さんが「あれは忘れられない」という出来事がありました。
7月末に吹奏楽部のコンクールがあり、その後に手術。いつもは1週間で退院していたため、2学期の始業式には間に合う予定でした。ところが、術後の状態が悪く再手術が必要となり、入院が長引いたのです。「始業式に間に合わないし、部活には行けないし、体育祭の準備にも参加できそうにない。『なんで私だけこうなるの?』って、大泣きでした」
部活の顧問の先生がお見舞いに訪れたとき、考えさせられる問いかけがありました。
「休むことを他の部員に伝えるとき、その理由を、つまり病気のことを話すかどうか、確認されたんです」
「病人扱いされたくない」、「みんなと普通に接していたい」という思いから、学校では同級生以外には病気のことを伏せていました。美咲さんの選択は「言わないでください」。
「思い返すと、私と関わる人みんなに話しておけばよかったのかもしれないとも思います。でもあのときは、病気のことを知ったらみんなの接し方が変わるんじゃないかって。学校の先生たちには母から伝えていましたし、周りの子の中にも、病気のことを知っている子はいました。でも、私の口から伝えることはできませんでした」