中学生の頃は、本人は最初気づいていなかったものの、「いじめ」とも思われる厳しい接し方をする同級生もいたそうです。双子のお兄ちゃんが同じ学校にいたため、どうしても比べられてしまいます。それがいやだった美咲さんは、勉強でわからないところがあると、何度も繰り返し先生に質問していました。
「私はいつも必死、全力投球です。そうしないとついていけないから。でも、必死に食らいつくのを『ダサい』って思う年頃じゃないですか。私の姿勢に反感を抱いたのか、あれこれウワサしたり、軽い嫌がらせをしたりしてくる子がいました。でも、仲よくしてくれる子が他にいたから、気にしないようにしていましたね」
学校でのことは、麻衣さんも聞いていました。「この子は根性があるので。私から行動を起こすことはなく、ただ心の中で応援していました。『がんばれ、美咲』って」と、麻衣さん。美咲さんの「根性」が勝り、幸いにも大きな問題に広がることはありませんでした。
中学生のときは、学習面でも変化がありました。担任が歴史の先生で、美咲さんは勉強の仕方、コツを教えてもらっていました。すると歴史のテストで初めて高い点数が取れ、勉強におもしろさを感じるようになります。もともと好きだった音楽と体育に加えて、日本史も好きになりました。
高校受験に備えて通い始めた塾でも出会いが。熱心な先生がいて、病気のことは伝えてないにもかかわらず、美咲さんのために時間を割き、丁寧に教えてくれたり、テスト対策の補講を開いてくれたり。自分の勉強法、ペースをつかめたことで、美咲さんの成績は少しずつ上がっていきました。
受験を経て、高校に進学。「高校の成績はけっこうよかったよね?」と美咲さんが言うと、麻衣さんは「ん~、普通」。何気ないやり取りから、親子関係の良好さが伝わってきます。