さまざまな時期を乗り越えて今、NF1とどう向き合うか

橋本さんご一家は、NF1とどのように向き合ってこられたのでしょうか。明美さんは振り返ります。「紗希の脚に腫瘍が見つかった頃だったと思います。NF1のことを紗希に『いつ』、『どうやって』伝えるかを、夫とじっくり話し合いました。そのときの結論は『今はまだ理解することが難しいだろうから、紗希が高校生になったら、病気の説明をしっかりしよう』というものでした」


しかし、痛みが激しさを増し、通院を重ねる中で、紗希さんも自分自身が何らかの病気であることは、薄々理解していました。ただ、「調べても病気であることは変わらないだろうから」と、自分から病気のことを詳しく調べたり、ご両親に聞いたりすることはなかったそうです。


紗希さんの言葉を受けて、明美さんは言います。「以前はNF1に関する情報が少なかったですし、過度に不安にさせてしまう情報もありましたので、紗希に病気のことを伝えることをためらい、その機会を先延ばしにしていました。治療選択肢が増え、病気に関する情報も増えた今の状況なら、診断後、もっと早いうちに病気のことをきちんと伝えられたのではないかと思いますし、そうすべきだと思っています」


さまざまな時期を乗り越えてきた今、NF1との向き合い方について、明美さんは次のように語ります。「ずっと、家族と一部の親しい友人以外には、紗希の病気のことを話していませんでした。そのときは、病気のことを話して、インターネットなどで調べてほしくなかったんです。でも今となっては、隠さないで、きちんと説明したほうがよかったと思っています。実際、友人に話したことで、知り合いの先生を紹介してもらったこともありました。聞いてもらうだけで、気持ちが軽くなることもありますから。NF1のことを多くの人に正確に知ってほしい。今はそう思っています」


診断の拒絶から始まったこれまでの道のりには紆余曲折がありましたが、今は、夢に向かう紗希さんが歩む道がはっきりと見えているようです。

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BIOGRAPHY & Words
生まれてすぐに見つかった、褐色のあざ 病気と認めたくなかった 小学6年生から痛み止めを服用も、治まることのない痛み 今、記憶に残っているのは寄り添ってくれた両親の姿 痛みとともにあった学校生活 思い出されるのは修学旅行 医師や学校の先生との出会いが支えになった 大学と専門学校のダブルスクールで勉強中 さまざまな時期を乗り越えて今、NF1とどう向き合うか