できることを探し求めた、親子の軌跡
見えてきたのは、夢へと続く道

孤発性のNF1患者さん

橋本 紗希さん(仮名)
20歳代 女性

橋本 紗希さんのことば

痛みでつらい時期はありましたが、両親がいつも私のことを考えてくれていたことに感謝しています。痛みが落ち着いてからは、将来、どのような職業に就くかを考え始め、移動が多かったり、長時間立っていたりする仕事よりもデスクワークの仕事がいいのではないかと、父から税理士を提案されました。今はその目標の達成に向けて、大学と専門学校で勉強をがんばっています。

母 明美さん(仮名)
40歳代 女性

母 橋本 明美さんのことば

紗希がNF1と診断されたことを最初は受け入れられませんでしたし、今でも「なんで?」と思うことはあります。でも今、紗希の姿を見て思うのは、紗希が選んだ夢を精一杯応援しようということ、そして、病気のことをひたすらに隠すのはもうやめよう、ということです。
もちろん娘の体のことですから、私一人の考えで広めるわけではありません。ただ、私たちがこうして発信することでNF1という病気が知られるようになれば、私のように診断を受け入れられないとか、家族の中で思い悩んでしまうことも少なくなるのではないかと思っています。

生まれてすぐ、紗希さんの体に見つかった、褐色のあざ。
母・明美さんは当初、「病気じゃない!」という思いを抱きながらも、痛みの症状に苦しむ紗希さんのために、自分に何ができるかを考え続けてきました。神経線維腫症1型(NF1)の診断と症状にどう向き合ってきたのか、また、現在の思いとこれからのことについて親子それぞれの目線から語っていただきました。

監修者のことば

神経線維腫症1型(NF1)は、まず生後にカフェ・オ・レ斑という茶褐色の皮膚色素斑で気づかれることが多い遺伝性の病気です。年が経るにつれて発生する皮膚神経線維腫は外見的なストレスにつながります。一方、もっと深部に発生する腫瘍は、部位によって痛み・運動障害・外見的な問題・視力障害などを引き起こす可能性があります。他にも側弯症などの骨の成長障害など、さまざまな臓器に症状が出てくる可能性があります。
幼小児の頃は症状が軽いと適切にNF1と診断されないことが少なくないと予想されます。しかし、最近はNF1患者さんを多科・多職種によって診療することが可能な施設が出てきましたので、できるかぎり紹介していただきたいと思います。このような施設で患者さん、ご家族がNF1に関する正しい知識を得ることができ、また適切に診療されるように私たちも努力します。

名古屋大学医学部附属病院
リハビリテーション科 教授
西田 佳弘 先生

これまでの歩み
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BIOGRAPHY & Words
生まれてすぐに見つかった、褐色のあざ 病気と認めたくなかった 小学6年生から痛み止めを服用も、治まることのない痛み 今、記憶に残っているのは寄り添ってくれた両親の姿 痛みとともにあった学校生活 思い出されるのは修学旅行 医師や学校の先生との出会いが支えになった 大学と専門学校のダブルスクールで勉強中 さまざまな時期を乗り越えて今、NF1とどう向き合うか